
「奨学金を借りたいけれど、いくら借りればいいのか、本当に返せるのか不安…」そう感じている学生や保護者の方は多いのではないでしょうか。
奨学金には給付型と貸与型があり、条件や申し込み方法はそれぞれ異なります。
また、教育ローンとの違いや併用の可否など、知っておくべきことは意外と多いものです。
この記事では、奨学金を借りる条件・方法・金額の目安から、返済シミュレーション、万が一返済が苦しくなったときの救済制度まで、進学前に押さえておきたい情報をまとめて解説します。

借りる前にしっかり理解して、後悔のない選択をしましょう。
奨学金とは
奨学金には大きく分けて「給付型」と「貸与型」の2種類があります。どちらが自分に合っているかを理解したうえで申し込むことが、後悔しない選択につながります。
給付型
給付型奨学金は、返済不要で受け取れる奨学金です。
代表的なものはJASSOの「給付型奨学金」で、主に住民税非課税世帯やそれに準ずる家庭が対象となります。
返さなくていい分、条件は厳しめに設定されており、学力基準と家庭の収入基準の両方を満たす必要があります。
採用されれば授業料の減免と組み合わせて利用できるため、経済的な負担を大きく減らせる制度です。
進学前に自分が対象になるかどうか、一度確認してみる価値は十分あるでしょう。
貸与型(第一種・第二種)
貸与型奨学金は、卒業後に返済が必要な奨学金です。第一種と第二種の2種類があり、大きな違いは利子の有無です。
| 種別 | 利子 | 採用基準 |
|---|---|---|
| 第一種 | なし(無利子) | 厳しめ(学力・収入基準が高い) |
| 第二種 | あり(上限年3%) | 比較的緩やか |
第一種は無利子で借りられる分、成績や家庭の収入に関する審査が厳しくなっています。
第二種は採用されやすい反面、卒業後の返済総額が利子の分だけ増える点に注意が必要です。

どちらも「借りたお金を将来返す」という性質は変わりません。
奨学金を借りる条件
奨学金を借りるには、学力と家庭の収入、両方の基準を満たす必要があります。給付型か貸与型か、また第一種か第二種かによって基準の厳しさが異なるため、それぞれの条件を事前に把握しておきましょう。
学力基準
JASSOの奨学金には、申し込みにあたって一定の学力基準が設けられています。
給付型・第一種(無利子)は基準が厳しく、高校の評定平均が3.5以上であることが目安のひとつです。
第二種(有利子)は「学修に意欲があり、学業を確実に修められると認められる」程度の基準となっており、比較的採用されやすくなっています。
なお、学力だけでなく将来への学習意欲も評価対象になるため、申込書の記載内容も重要です。
成績に不安がある場合は、第二種から検討してみるのも一つの選択肢といえます。
家庭の収入基準(年収の目安)
収入基準は、家族構成や通学形態(自宅・自宅外)によって異なります。以下は目安となる世帯年収の例です。
| 種別 | 世帯年収の目安(4人家族の場合) |
|---|---|
| 給付型 | 約270万円以下(住民税非課税世帯等) |
| 第一種(無利子) | 約600万円以下 |
| 第二種(有利子) | 約1,100万円以下 |
世帯年収400〜700万円の家庭であれば、第一種または第二種の対象になるケースが多いです。
ただし、きょうだいの人数や保護者の職業によって基準が変わることもあります。
正確な判定はJASSOの「進学資金シミュレーター」で確認できます。

自分の家庭が対象かどうか、まず試してみてください。
奨学金を借りる割合
奨学金を利用している学生は、実はかなりの割合に上ります。「自分だけが借りているのでは」と感じる必要はありません。大学の種類によっても利用率に差があるため、進学先に合わせた情報を把握しておきましょう。
大学生全体の利用率
文部科学省の調査によると、大学生の約半数が何らかの奨学金を利用しています。
JASSOの貸与型奨学金だけでも、毎年100万人以上が新たに採用されており、奨学金は決して特別な制度ではありません。
「奨学金を借りるのは恥ずかしい」と感じる方もいるかもしれませんが、2人に1人が利用している現実を知れば、その感覚も変わるのではないでしょうか。
進学費用を自力で工面するのが難しい家庭にとって、奨学金はごく一般的な選択肢のひとつです。
私立大学・専門学校での割合
私立大学や専門学校では、国公立大学と比べて学費が高くなるため、奨学金の利用率も高い傾向にあります。
私立大学では約5割強、専門学校では約4割の学生が奨学金を活用しているとされています。
学費の高さを考えると、奨学金なしで4年間を乗り切るのはかなり難しい環境といえます。

進学先の学費と奨学金の貸与月額を照らし合わせながら、どの程度の金額が必要になるか早めに試算しておくことが大切です。
奨学金を借りる方法
奨学金の申し込みは、タイミングと手順を押さえれば難しくありません。高校在学中から動き出せるかどうかで、採用の可否が変わることもあります。
STEP1 予約採用か在学採用かを選ぶ
奨学金の申し込みには「予約採用」と「在学採用」の2つのタイミングがあります。
予約採用は高校3年生のときに申し込む方法で、進学前に採用が決まるため安心感があります。
一方、在学採用は大学入学後に申し込む方法です。どちらを選ぶかによって、必要な書類や申込窓口が変わります。
経済的な不安がある場合は、早めに動ける予約採用を選ぶのが賢明です。高校の奨学金担当の先生に相談するところから始めてみましょう。
STEP2 必要書類を準備する
申し込みには複数の書類が必要になるため、早めの準備が肝心です。主に用意するものは以下のとおりです。
- 収入に関する証明書類(源泉徴収票・課税証明書など)
- 高校の成績証明書(評定平均がわかるもの)
- 家族構成を確認できる書類
- マイナンバーに関する書類
書類の種類は申し込む奨学金の種別によって異なります。不足があると手続きが遅れるため、学校や担当窓口に確認しながら一つひとつ揃えていきましょう。
STEP3 スカラネットから申し込む
書類が揃ったら、JASSOのオンライン申込システム「スカラネット」から申し込みます。
スカラネットとは、奨学金の申し込みから在学中の手続きまでをインターネット上で行えるJASSOの専用システムです。
入力項目は家庭の収入状況や希望する貸与月額など多岐にわたります。入力前に必要情報をメモしておくとスムーズです。
また、予約採用の場合は高校を通じてIDが発行されるため、担任や進路担当の先生に確認しておく必要があります。
STEP4 採用後に返還誓約書を提出する
採用が決まったら、「返還誓約書」の提出が必要です。
返還誓約書とは、奨学金を借りた事実と返済義務を確認するための書類で、奨学生としての手続きの最後のステップにあたります。
この書類を提出しないと、実際に奨学金の振り込みが始まりません。
提出方法はスカラネット・パーソナル(在学中の手続き専用システム)からオンラインで行います。

記入内容に不備があると再提出が必要になるため、落ち着いて確認しながら進めてください。
奨学金を借りる金額の平均と目安
奨学金をいくら借りるかは、進学後の生活設計を左右する重要な判断です。まずは平均的な借入額を知ったうえで、自分に必要な金額を考えていきましょう。
毎月の貸与月額の平均
JASSOの貸与型奨学金では、月ごとに一定額が振り込まれます。貸与月額の選択肢は奨学金の種別によって異なります。
| 種別 | 選択できる貸与月額の目安 |
|---|---|
| 第一種(自宅通学) | 2〜3万円 |
| 第一種(自宅外通学) | 2〜6万円 |
| 第二種 | 2〜12万円(1万円単位で選択) |
第二種を利用する学生の平均的な借入額は月5〜7万円程度とされています。
生活費や交通費なども考慮したうえで、必要最低限の金額を選ぶ意識が大切です。
4年間で借りる総額のシミュレーション
月々の借入額は少なく見えても、4年間積み上げると総額はかなりの金額になります。以下は月3万円・月5万円・月8万円を借りた場合の総額の目安です。
| 月の借入額 | 4年間の総借入額 |
|---|---|
| 月3万円 | 約144万円 |
| 月5万円 | 約240万円 |
| 月8万円 | 約384万円 |
第二種の場合は利子が加わるため、返済総額はさらに増えます。
たとえば240万円を年利1%・15年返済で借りた場合、返済総額は約260万円程度になります。

借りるときの金額だけでなく、返すときの総額まで視野に入れて考えることが重要です。
奨学金をいくら借りるべきか
借りられる上限まで借りるのは、必ずしも正解ではありません。将来の返済負担を抑えるためにも、自分に本当に必要な金額を見極める視点が欠かせません。
無理なく返済できる金額の考え方
返済無理のない借入額の目安は、卒業後の月収の10〜15%以内とされています。
たとえば月収22万円(手取り)の場合、無理なく返せる返済額は月2〜3万円程度です。逆算すると、借入総額は150〜200万円が一つの目安になります。
「借りられる額」と「返せる額」は別物です。
就職後の生活費や結婚・住宅購入といったライフイベントも視野に入れながら、借入額を決めましょう。
借りる額を減らす方法
奨学金の借入額を減らす方法は、大きく3つあります。
- 給付型奨学金や授業料免除制度を併用する
返済不要の給付型と組み合わせることで、貸与型の借入額を圧縮できます。 - アルバイト収入で生活費の一部を補う
月3〜5万円の収入があれば、借入月額を1〜2万円下げることも可能です。 - 貸与月額を途中で減額申請する
在学中であればスカラネット・パーソナルから減額手続きができます。

最初から最大額を借りるのではなく、他の収入と組み合わせながら必要最小限に抑える工夫が、将来の家計を守ることにつながります。
奨学金を借りるべきか判断するポイント
奨学金は便利な制度ですが、全員に必要なわけではありません。自分の状況に照らして「借りるべきか」を判断するための基準を整理します。
借りるべき状況
家庭の収入だけでは学費や生活費を賄いきれない場合、奨学金は進学を実現するための現実的な手段です。特に次のような状況では、積極的に検討する価値があります。
- 世帯年収が600万円以下で、貯蓄だけでは4年分の学費を用意できない
- 自宅外通学が必要で、家賃・生活費が別途かかる
- きょうだいが複数いて、家計の余裕が少ない
奨学金があることで、アルバイトに追われることなく学業に集中できる環境が整います。
「借りること」よりも「借りた後にどう返すか」を先に考えておくことが、後悔しない選択につながります。
借りない方がいいケース
家庭に十分な教育資金がある場合や、返済見通しが立たない場合は、安易に借りない方が賢明です。特に注意が必要な状況は以下のとおりです。
- 進学後の就職先や収入の見通しが極めて不透明
- すでに教育ローンなど他の借入がある
- 希望する職種の平均年収が低く、返済と生活費の両立が難しい
貸与型奨学金は「将来の自分への借金」です。

卒業後の収入と返済額のバランスが取れるかどうか、進学前にシミュレーションしておきましょう。
奨学金と教育ローンの違い
奨学金と教育ローンは、どちらも学費の工面に使える制度ですが、仕組みが大きく異なります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った選択をしましょう。
金利・返済開始時期の比較
奨学金と教育ローンの最大の違いは、誰が借りるかと返済開始のタイミングです。
| 項目 | 奨学金(JASSO) | 国の教育ローン(日本公庫) |
|---|---|---|
| 借りる人 | 学生本人 | 保護者 |
| 金利 | 第一種:無利子/第二種:上限年3% | 固定金利(年2.25%程度※) |
| 返済開始 | 卒業後6ヶ月後 | 借入直後から |
| 融資上限 | 月額制(種別による) | 最大350万円(一括) |
※金利は時期により変動します。日本公庫の公式サイトでご確認ください。
奨学金は在学中の返済が不要な点が大きなメリットです。
教育ローンは保護者が返済するため、学生本人の負担にはなりませんが、家計への影響が在学中から始まります。
併用できるケース
奨学金と教育ローンは併用が可能です。
たとえば初年度の入学金・前期学費は教育ローンで一括対応し、在学中の生活費は奨学金で月々補うという使い方ができます。
どちらか一方では足りない場合に、組み合わせることで資金不足を解消できます。
ただし、奨学金は学生本人、教育ローンは保護者の返済となるため、家族全体の返済計画を事前にすり合わせておくことが不可欠です。

どちらか一方では足りない場合に、組み合わせることで資金不足を解消できます。
奨学金返済が苦しくなったときの救済制度
奨学金の返済が困難になっても、すぐに行き詰まるわけではありません。JASSOには返済を助ける制度が用意されており、早めに申請することで状況を改善できます。
返還期限猶予制度
返還期限猶予制度とは、一定の条件を満たすことで返済を一時的に先送りできる制度です。
猶予できる期間は通算10年以内で、失業・低収入・災害・病気などが対象となります。
返済を止められるため、生活が急変したときの緊急避難的な使い方ができます。
申請はスカラネット・パーソナルから行い、猶予期間中は延滞扱いにはなりません。
「返せなくなってから動く」のではなく、苦しくなりそうだと感じた時点で早めに申請するのが重要なポイントです。
減額返還制度
減額返還制度は、月々の返済額を2分の1または3分の1に減らせる制度です。
収入が少ない時期や、育児・介護などで支出が増えた時期に活用できます。
減額した分の返済期間は延びますが、無理のない金額で返済を継続できるメリットがあります。
利用できる期間は通算15年以内で、1年単位で申請します。
返済をやめてしまうと信用情報に影響が出るリスクもあるため、止めるよりも減額して続ける選択が現実的です。

止めるよりも減額して続ける選択が現実的です。
奨学金以外で学費を工面する方法
奨学金だけが学費の調達手段ではありません。他の制度や収入と組み合わせることで、借入額を抑えながら進学の夢を実現することも十分可能です。
給付型奨学金・授業料免除制度
給付型奨学金と授業料免除制度は、返済不要で受けられる支援です。
JASSOの給付型奨学金は、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯を対象に、授業料の減免とセットで支給されます。
世帯年収の目安は270万円以下が中心ですが、多子世帯や私立大学進学者向けに対象が広がるケースもあります。
また、各大学が独自に設けている授業料免除・減額制度も見逃せません。
進学先の大学のホームページや入試要項を早めに確認し、使える制度を探しておくことをおすすめします。
アルバイト・家計支援との組み合わせ
アルバイト収入を組み合わせることで、奨学金の借入額を抑えることができます。
月3〜5万円の収入があれば、貸与月額を1〜2万円削減できる計算になります。
ただし、学業に支障が出るほど働くのは本末転倒です。
週3日・1日5時間程度を目安に、学業と両立できる範囲で調整しましょう。
また、祖父母や親族からの支援を受けられる場合は、贈与税の非課税枠(教育資金として1,500万円まで)を活用する方法もあります。

借入だけに頼らず、使える選択肢を組み合わせることが、卒業後の家計を守る第一歩になります。
まとめ|奨学金を借りる前に知っておきたいこと
奨学金には返済不要の給付型と、卒業後に返す貸与型(第一種・第二種)があります。どちらが使えるかは、学力基準と家庭の収入基準によって異なります。
申し込みは高校3年生のうちに予約採用で動き出すのが理想です。スカラネットからの申請・返還誓約書の提出まで、手順を一つひとつ確認しながら進めましょう。
借りる金額は「返せる額」から逆算するのが基本です。
卒業後の月収の10〜15%以内を目安に、給付型や授業料免除制度・アルバイト収入と組み合わせながら、借入額を必要最小限に抑える工夫が重要です。
万が一返済が苦しくなった場合も、返還期限猶予制度や減額返還制度といった救済策があります。困ったときは放置せず、早めにJASSOへ相談することが大切です。

奨学金は使い方次第で、進学の大きな味方になります。






